死者を解剖してその知見から犯人像を暴き出す法医学をテーマにした医療ミステリー『屍活師 女王の法医学』。2013年には松下奈緒さん主演でドラマ化もされました。医学の専門知識がふんだんに盛り込まれたミステリーなので、医療関係者は特にたまらないはず!勉強にもなるので、医療に興味がある学生さんたちにもお勧めです!
女性の首つり死体が発見
新しく法医学研究室の所属となったH大学医学部4年の犬飼一。夢は「生きた患者」を相手にする立派なお医者さんになること。
犬飼は臨床を希望するも研究室の准教授・桐山ユキに却下され、さらにワンコくんという名前で呼ばれ始めます。
女性の首つり事件が発生し、現場に向かうと、亡くなった女性はワンコくんが前日に会った人だと判明。首には索条痕もあり、また彼女の持ち物から会社の金を横領していた証拠が見つかります。
自殺か他殺か
罪の意識に苛まれたゆえの典型的な自殺と思われた時、亡くなった女性の同僚が「自殺のわけがない!」と叫びます。
ユキは半ば強引に司法解剖に持ち込み、遺体から亡くなった女性の声を聞き始めます。
単なる首つりでは見られないはずの血液の色の変化が、彼女の心臓から発見されます。
血の色が変化する理由は、彼女が「死んだ場所」にありました。
ユキの観察力がすごい
シャーロックホームズの観察力が素晴らしかったことはミステリー界では有名ですが、桐山ユキの観察力も並外れています。
身体の微細な変化から被害者の状況を推理、さらにささいな環境の変化も見逃しません。
1コマ1コマに事件につながるヒントが隠されていて、読者自身の観察力も試される一冊。何気なく読み飛ばしたコマに重要なヒントが隠されていて、何度も戻り読みしてしまうっ!(観察力なし)
ユキの過去に一体何が…!?
死者の声を生きるものの希望に変えるユキ。彼女には司法解剖を通じて死者の姿が目に見えるのです。そしてこの能力を新しい助手、ワンコくんももっていました。
同じ能力をもっていた人がほかにもいたようなのですが、その人は桐山ユキに殺されたというのです。ユキの過去にいったい何が…!
医学の専門知識を通じて、人間の身体の機能性と外部への反応に改めて驚かされます。こんな状況で死ぬとこうなる、というのが分かっているというのは、これまで人間が積み重ねてきた知識の賜物なんですよね。医学、おもしろい!
薬学部出身の作者さんの実体験付き!
単行本には作者の杜野亜希先生の実体験なども描かれています。医学知識がふんだんな本編に加え、こういう大学時代の実体験なども読めてお得感アップ。ぜひ、読んでみてくださいね!
骨標本の方とお友達ってすごい…(なりたい)。
みなさんの応援にありがとう。
アルは「Google Play ベスト オブ 2019 アプリ 隠れた名作部門賞」を受賞しました!